事前学習:外部放射線治療装置 リニアックの構造
この章は「部品名を覚える」だけだと危険です。
試験では、X線で使う部品、電子線で使う部品、線量監視、画像照合、マイクロ波系の区別が狙われます。
まずは「電子を加速する → X線ならターゲット、電子線なら散乱箔」という流れを作りましょう。
1. リニアック全体構造
| 部位・装置 | 役割 | 試験での注意 |
| ガントリ | 電子銃、加速管、偏向マグネット、ターゲット、各種コリメータ、MLCなどを収納 | ボーラス・固定具・ファントムはガントリ装備ではない |
| kV imager | 位置照合用のkV画像・CBCT画像を取得 | EPIDとの違いを問われる |
| EPID | 治療用MV X線画像を取得 | 位置照合、照射野確認、線量検証、QAに使用 |
| カウチ | 患者を支持する治療寝台 | 強度が高くX線吸収が小さいカーボン材 |
| ペンダント | ガントリ回転・寝台移動などの手元操作 | デッドマンスイッチで安全確保 |
kV imager=kV/CBCT、EPID=MV画像。ここはかなり出ます。
2. 照射ヘッドの流れ
- 電子銃:加速管内に電子を打ち込む。
- 加速管:マイクロ波電場で電子を加速する。内部は高真空。
- 偏向マグネット:電子ビームの進行方向を変える。現在は270度偏向が主流。
- ターゲット:X線照射時に加速電子を衝突させ、制動X線を発生させる。
- プライマリコリメータ:最大照射野外へ広がるビームを遮蔽する固定式コリメータ。
- フラットニングフィルタ:X線照射野内の強度分布を平坦化する。
- スキャッタリングフォイル:電子線照射時に電子ビームを散乱させる。
- モニタ線量計:MU、線量率、平坦度、対称性などを監視する。
- jaw・MLC:照射野を整形する。MLCは3D-CRTやIMRTで重要。
X線:ターゲット+フラットニングフィルタ。電子線:スキャッタリングフォイル+照射筒。
3. マイクロ波系
| 項目 | 整理 |
| マグネトロン | 自励発振。小型・安価・ガントリ内設置しやすいが、寿命や安定性はクライストロンに劣る。 |
| クライストロン | 他励発振系で用いるマイクロ波増幅管。大型・高価だが寿命が長く周波数安定性が高い。 |
| サイラトロン | パルス変調回路の高速スイッチ。マイクロ波発振管ではない。 |
| アイソレータ・サーキュレータ | 反射波対策やマイクロ波の進行方向制御に関係する。 |
マグネトロン=自励発振、クライストロン=増幅管、サイラトロン=スイッチ。
4. X線照射と電子線照射の比較
| 項目 | X線照射 | 電子線照射 |
| 主な流れ | 電子をターゲットに当てて制動X線を発生 | 加速電子をそのまま利用 |
| 整形・平坦化 | フラットニングフィルタ、jaw、MLC | スキャッタリングフォイル、照射筒・コーン |
| 補助具 | くさびフィルタ、補償フィルタ、MLCなど | 照射筒・アプリケータ、散乱箔など |
| 注意 | MV領域では水中の主相互作用はコンプトン効果 | 空気中で散乱しやすいため患者表面近くで照射野を整形 |
「平坦化フィルタは電子線用」は誤り。「散乱箔はX線照射用」も誤り。
5. 相対線量測定のポイント
| 用語 | 意味 | 間違いやすい点 |
| PDD | 吸収線量百分率 | SSDや照射野サイズで変化する |
| PDI | 深部電離量百分率 | PDDと混同しない |
| R50 | 吸収線量が50%になる深さ | I50は電離量50%深 |
| TMR | SAD法で用いられる指標 | 照射野サイズによって変化する |
R50=吸収線量50%、I50=電離量50%。ひっかけ界の常連です。
6. 過去問で落としやすい表現
- 加速管は鉛製ではなく、電子を加速する高真空構造。
- 加速管内に窒素を一定量入れるわけではない。
- 出力エネルギーは連続的に自由変更するのではなく、設定された公称エネルギーを選ぶ。
- 同一エネルギーでは、一般に定在波型の方が進行波型より短くできる。
- ドーナツ管はリニアック構成要素ではない。
- レンジシフター・リッジフィルタは粒子線治療側の器具として整理する。